Helicobacter Pylori (H.pylori :ピロリ菌 以下Hp)は1982年にオーストラリアの医師によって発見された細菌で胃粘膜に生息していると言われています。
この細菌が胃内に存在している患者さんは慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍に罹りやすくなったり、その治癒が遅れたり、潰瘍が再発しやすかったりすると言われています。

胃粘膜に住んでいるHp Hp の電子顕微鏡写真

 近年、この細菌がジャーナリズムで取り上げられる機会が増えていますが、その検査治療には様々な意見があり、以下簡単に説明します。

1. 病気との関係:胃潰瘍十二指腸潰瘍の患者さんの90%に認められている との報告があります。また胃癌との関連も取りざたされています。最近、慢性胃炎が急速に進行するとも云われています。
2. 検査法
2−1 血液検査:Hpに罹ると細菌から体を守るために抗体と云う物を作ります。これを測定すれば過去に罹ったことが有るか否かは判定が出来ますが、現在細菌が居るかどうかとは関連はありません。
2−2 迅速ウレアーゼテスト:内視鏡検査時に胃粘膜を採取して特殊な検査液につけます。Hpは胃酸から自らを守るためにアンモニアを作っていますので、このアンモニアが発生しているか否かを検査液で確かめます。ただし、内視鏡で採取した部位に細菌が居なければ偽陰性に出ることがありますし、内服薬による影響もあります。
2−3 胃粘膜培養:ウレアーゼテストと同様に内視鏡検査時に粘膜を採取し、細菌培養を行います。内服薬の影響が比較的少ないと云われていますが、結果が出るのに2週間ほどかかります。
2−4 病理組織検査:内視鏡検査時に胃粘膜を採取し、顕微鏡で細菌が居るかどうかを確かめます。この方法は直接細菌が居るかどうかを確かめられます。
2−5 尿素呼気試験:Hpがアンモニアを発生することを応用して行う検査です。特殊な検査液を飲んでしばらくしてから息を調べます。
 

治療法
1986頃からこの細菌を薬で除菌する試みが行われています。この10年ほどで、様々な薬の組み合わせが考案され、治療が行われてきました。
現在我々は、健康保険適応のある内服薬治療をおすすめしています。
内服薬は3種類
1.Lanzoprazole (60mg) 2.Clarithromycin(800mg) 3.amoxicillin(1500mg)
を使用しています。
1.は胃、十二指腸潰瘍の治療に元々使われている胃酸を減らす薬です。
2.3. は気管支炎、肺炎等で10年以上前から使用されている薬です。この薬を1週間服用します。


治療効果の判定
服用後1ヶ月で再度2-1から2-5までの検査を少なくとも2種類施行し細菌が消滅したかどうかを判断しますが、内服終了後1ヶ月では偽陰性の場合があるので、最終的には服用終了後1年で判定すれば良いと云われています。


治療成績、治療に伴う副作用
日本での報告では除菌を行った患者さんの中で95%の方は除菌が成功したと云う報告がありますし、諸外国でもほぼ同様の結果です。
また主に抗生物質の副作用と考えられる、下痢、吐き気、発疹などが5%の方に見られ、治療を中断しなければならなくなることが有ります。
治療終了後胃炎や潰瘍の改善がなされる反面胃酸の量が増えてしまい、逆流性食道炎や十二指腸炎が起きることもあります。


さあ、貴方は検査を受けますか?除菌を希望しますか?